ビンデシュワル・パタク氏(文化・社会部門)
講演要旨
(日本経済新聞2018年6月14日掲載)
バイオトイレ、差別と戦う

私はソーシャルワーカーとして働いていたとき、身分制度の下層階級に位置づけられる「不可触民」の生活を改善する仕事を与えられた。排せつ物を清掃する仕事から救い出し、社会的に統合することは(インド建国の父)マハトマ・ガンジーの夢の一つだった。
当時のインドの村では誰もが外で排便をしていた。悪臭に満ち、子どもたちは下痢や脱水に苦しんでいた。女性は日の出前や日没後にすませる必要があった。蛇にかまれたり、動物に攻撃されたりするリスクもあった。公共の場所に公衆トイレはなく、インド人自身も不便を感じていた。
「便利トイレ」と呼ぶ2層式の水洗トイレを発明した。人間の排せつ物はバクテリアによってバイオ肥料に変換される。この発明で非人道的な職業から解放され、人権を取り戻す「不可触民」もいた。
トイレが学校に設けられ、女子生徒の出席が劇的に増えた。これまで個人住宅に150万のトイレを設け、全国に9千超の公衆トイレを建設した。モディ政権も衛生状況の改善を進めている。
我々のトイレ技術は中国、バングラデシュ、ベトナム、アフガニスタン、ガーナなどでも採用されている。安全で衛生的なトイレがない地域の問題を解決できると信じている。