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審査委員会について
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第24回 日経アジア賞
審査を終えて

審査委員長 御手洗 冨士夫氏
(日本経団連名誉会長)

審査委員長 御手洗冨士夫氏

今回の日経アジア賞も、アジアの民生や文化水準の向上に貢献した人や団体を表彰することになった。経済部門と文化・社会部門で、デジタル技術を使って新しい課題の解決に挑んだ人と団体が受賞したことが、本年の大きな特徴と言える。

経済部門では、インドネシアで配車サービスを展開するゴジェックの創業者、ナディム・マカリム氏の業績を高く評価した。公共交通が未発達のインドネシアで、スマートフォンで二輪車を手軽に呼べる配車サービスを開始し、2〜3年で市民の足として定着。その後、宅配や電子マネーサービスも開始し、金融サービスにアクセスできなかった人でも口座を持てるようにし、社会のデジタル化にも貢献した。私はアジアを30年間見てきたが、主要な交通機関としてまず自転車が使われる。それがバイクになり次に自動車へと移る。インドネシアはまだバイクが主に使われている段階であり、それをオーガナイズして事業化している点は時宜にかなっている印象だ。

科学技術部門は養殖ウシエビ(ブラックタイガー)の研究で世界的に評価され、「アジアの水産養殖の父」と称される水産研究者の廖一久氏の功績を高く評価した。1968年、世界で初めてウシエビの人工種苗生産に成功した。その成果により東南アジアを中心にエビ養殖産業が大きく発展し、養殖漁民の所得が増えた。アジア各国において、非常に息長く大きな貢献を続けている点も業績として強調したい。

文化・社会部門では、フィリピンで「シネマラヤ・フィリピン・インディペンデント映画祭」を主催する非営利団体のシネマラヤ財団の業績が際立った。2005年にいち早くフィリピン初の大規模デジタル映画祭としてスタートしたことに加え、審査対象を映画の企画書・脚本とし、審査を通過したクリエイターに製作資金を提供して、完成させた作品をコンペティションするという方法も画期的だった。若い才能の発掘に大いに貢献し、フィリピンの映画産業はアジアを代表するまでに育った。  

日経アジア賞は今年で24回目を迎え、平成を通してアジアの様々な社会課題の解決に貢献し、人々の生活の向上に貢献した人や団体を表彰してきた。世界の政治、経済、社会の中でアジアの存在感が今までになく高まっている折、そうした存在に目を配り続けることは、今後も大きな意義があるに違いない。

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